デフィシットデッドリフトのフォームイメージ
DEFICIT DEADLIFT

デフィシットデッドリフト

背中(脊柱起立筋) 難易度:上級 🏋️ バーベル(オリンピックバー)
Deficit Deadlift

低い台の上に立って行うデッドリフト。バーが足元より低い位置から始まるため、床から引き始める局面が長くなります。

デフィシットデッドリフトは、こう動かす

効く場所:脊柱起立筋・大臀筋・ハムストリングス(あわせて働く:大腿四頭筋・広背筋・僧帽筋・前腕筋群)

外せない点:

  • 台の高さ
  • 足の位置
  • グリップと腰の高さ
  • 腹圧と脇

やり方

構えをつくる

  1. 台の高さ:5cm前後から始めます。プレートを重ねる場合は、ぐらつかないことを先に確かめます。高くするのは、その高さで背中をまっすぐに構えられるようになってから。目安:構えたときに腰が丸まらず、背中をまっすぐに保てている。
  2. 足の位置:台の上に腰幅で立ち、足の中央をバーの真下に合わせます。台の端からつま先やかかとがはみ出さない位置に立つこと。目安:足の裏全体が台に乗っていて、つま先もかかとも台の縁から浮いていない。
  3. グリップと腰の高さ:通常のデッドリフトと同じ幅でバーを握ります。台の分だけ腰が低くなり、膝は深く曲がります。ここで背中が丸まるなら、その高さはまだ早いということです。目安:横から見て、腰が膝より高く、背中がまっすぐで、肩がバーの真上か少し前にある。
  4. 腹圧と脇:息を吸ってお腹を固め、脇を締めてバーを体に引き寄せておきます。引き始める前に、バーのたわみを取るように軽く張りを作ります。目安:バーがすねに触れるか触れないかの距離にあり、腕はまっすぐ伸びている。

床より深い位置から引き上げる

台を足で押すようにして、胸と腰を同じ速さで持ち上げます。バーがひざを越えたら、お尻を前へ出して立ちきります。下ろすときは股関節から先に曲げ、バーを太もも、すねに沿わせて床まで戻します。引き始めに腰だけが先に上がると、脚で押す力が使えず、背中で引く形になります

呼吸:構えで吸って固め、立ちきってから吐く。1回ごとに吸い直す

目安:引き始めで腰と胸が同時に上がっている。バーが体から離れずにまっすぐ上がっている

回数・重さの目安

  • 筋力向上:3〜5回×3〜4セット 通常のデッドリフトより軽い重量で行います。どれだけ落とすかは台の高さと、床からの引き始めがどれだけ苦手かで変わるので、決まった割合はありません。最後の1回で背中が丸まらない重さが上限です。
  • 筋肥大:6〜8回×3セット 回数を増やすと、後半で腰が先に上がりやすくなります。崩れた回からセットを終えてください。
  • フォーム練習:軽い重量で3〜5回×3セット デッドリフトの構えを覚え直したいときに、軽い重量で引き始めの姿勢だけを繰り返します。
  • 伸び悩んだときの進め方:重さ以外に3本の軸がある ①台を数cm高くする(背中をまっすぐに構えられる範囲で) ②床から離れた直後に1〜2秒止める ③下ろす局面を3秒かける。ただし台を高くするほど通常のデッドリフトとは別の動きに近づきます。目的が通常のデッドリフトを伸ばすことなら、台は低めのまま重量で進めるほうが筋が通ります。

安全とマナー

  • 台やプレートがぐらつかないことを、重りを付ける前に確かめる
  • 下ろしたときにプレートが台に乗らないよう、台は足が収まる幅にし、プレートは台の外の床に着くようにする

よくある間違いと直し方

  • 構えたときに腰が丸まる:台が高すぎるか、股関節やもも裏の柔軟性に対して深すぎる位置です。台を1段下げ、背中をまっすぐに保てる高さに戻してください。これで解決しないなら、まず通常のデッドリフトの構えを見直します
  • 腰が先に上がり、上体が前に倒れたまま引いている:脚で床を押す前に背中で引き始めている状態で、重すぎるときに多い崩れです。重量を落とし、胸と腰が同時に上がる重さに戻します。台が高すぎても起こるので、両方を疑ってください
  • バーが体から離れて前へ流れる:脇が緩んでいます。引き始める前に脇を締め、バーを体に引き寄せる張りを作ってから床を押します
  • 足元のプレートがずれる・ぐらつく:プレートを重ねた台は、靴が縁にかかるとずれます。足の裏全体が乗る広さの台を使い、ぐらつくなら使わないでください
  • 通常のデッドリフトと同じ重量で挑んでしまう:可動域が広い分、同じ重量では引き始めで必ず崩れます。通常の重量から下げて始め、形が保てる重さを探してください

痛みが出たときは

  • 腰が痛いとき:構えか引き始めで背中が丸まっていないかを確認してください。台を下げる、重量を落とす、の順で試し、それでも痛む場合は中止して医療機関に相談してください。
  • もも裏が痛いとき:台が高すぎて、もも裏が強く伸ばされた位置から引いている可能性があります。台を下げてください。引きつるような痛みが出た場合はその日の練習を止め、続くようなら医療機関に相談してください。

デフィシットデッドリフトとは

デフィシットデッドリフトは、高さ数cmの台の上に立ち、足元より低い位置にあるバーを引き上げるデッドリフトです。デフィシッドデッドリフト、デフィシット・デッドリフトとも書かれ、英語では Deficit Deadlift。deficit は「不足・マイナス」の意味で、バーが足元より低い、いわばマイナスの高さから引くことを指しています。動作そのものはデッドリフトと同じです。違いは引き始め。台に乗った分だけ腰を低くしてしゃがむ必要があり、バーが床を離れるまでの距離も長くなります。床から離れる瞬間がいちばん重いと感じている人が、その局面を練習するために使うことが多い種目です。台の高さは2.5〜10cmほどが解説によって勧められていて、高いほど難しくなります。

この種目で変わること

  • 床からバーが離れる引き始めの局面を、通常より長い距離で練習できる
  • 腰を低く構える分、ひざの曲げ伸ばしが大きくなり、太もも前側の働きも増える
  • 同じ重量でも可動域が広がるため、軽めの重量で十分な負荷を作れる
  • ただし、デフィシットデッドリフトを続ければ通常のデッドリフトの記録が伸びる、と比べて確かめた研究はほとんど見当たりません。引き始めが強くなるという考えは指導の現場では広く共有されていますが、根拠の多くは経験によるものです

まだ難しいときは

似た効果の種目

長所・短所

この種目ならではの強み

  • 引き始めの局面を集中して練習できる:バーが床を離れる位置が低くなり、多くの人が苦手とする床からの引き始めを長い距離で経験できる。
  • 軽い重量で強い負荷を作れる:可動域が広がる分、通常より軽い重さでも脚と背中に十分な仕事をさせられる。
  • 構えの崩れがはっきり出る:台の分だけ深く構えるので、背中の丸まりや腰の先上がりが隠れずに現れる。

弱みと、その付き合い方

  • 台を用意する必要がある:ぐらつかない数cmの台かプレートが要る。
    こう付き合う:用意できなければデッドリフトを、下ろす局面をゆっくりにして行う。
  • 柔軟性が足りないと深く構えられない:腰を低く構えられないと、台に乗ると背中が丸まる。
  • 高くしすぎると別の種目になる:台が高いほど通常のデッドリフトから遠ざかり、練習としての意味が薄れる。

ひとことで:通常のデッドリフトを、床より少し深い位置から始めるだけの種目。台は低く、重さは軽く、背中をまっすぐに保てる範囲で行う。

よくある質問

通常のデッドリフトと何が違いますか?
動作は同じで、違うのは引き始める位置だけです。台に乗った分だけバーが足元より低くなり、腰を低く、ひざを深く曲げて構えることになります。床からバーが離れるまでの距離が長くなるので、同じ重量でも重く感じます。デッドリフトで床から離れる瞬間がいちばんつらい人が、その局面を練習するための派生種目です。
ルーマニアンデッドリフトとはどう違いますか?
始まる位置も、鍛え方も違います。ルーマニアンデッドリフトは立った状態から始め、ひざをほぼ固定したまま、もも裏が伸びるところまでバーを下ろして戻ります。床には置きません。デフィシットデッドリフトは床より低い位置から毎回バーを引き上げ、ひざも大きく曲げ伸ばしします。もも裏を伸ばしながら鍛えたいならルーマニアン、床からの引き始めを強くしたいならデフィシット、と目的で分けてください。
ラックプルとは逆の種目ですか?
向きとしては逆です。ラックプルはバーを床より高い位置から引き、可動域を短くして重い重量を扱います。デフィシットデッドリフトは床より低い位置から引き、可動域を長くします。立ちきる直前が弱い人はラックプル、床から離れる瞬間が弱い人はデフィシット、という使い分けが一般的です。
台の高さはどれくらいがいいですか?
5cm前後から始めてください。解説によって2.5〜10cmほどの幅がありますが、高くすればよいわけではありません。台が高いほど通常のデッドリフトとは別の動きになり、背中も丸まりやすくなります。台に乗って構えたとき、背中をまっすぐに保てる高さが、その人の上限です。
重量はどのくらい落とせばいいですか?
決まった割合はありません。台の高さと、もともと引き始めがどれだけ得意かで変わります。通常のデッドリフトで楽に扱える重さから始め、最後の1回まで背中が丸まらず、腰が先に上がらない重さを探してください。
これを続けると通常のデッドリフトの記録は伸びますか?
伸びると断定はできません。引き始めが強くなる、という考えは指導の現場では広く共有されていますが、デフィシットデッドリフトと通常のデッドリフトを比べて、記録の伸びを確かめた研究はほとんど見当たりません。通常のデッドリフトを伸ばしたいなら、まず通常のデッドリフト自体を練習するのが基本で、この種目は補助として加えるものです。
初心者がやってもいいですか?
通常のデッドリフトで、背中をまっすぐに保ったまま床から引けるようになってからにしてください。台に乗ると構えが深くなり、通常のフォームの弱いところがそのまま大きく出ます。順番としては、通常のデッドリフトが先です。
デフィシッドデッドリフトと同じですか?
同じ種目です。英語の deficit をどうカタカナにするかの違いで、デフィシット、デフィシッド、ディフィシットといった表記が混在しています。「台に乗ってやるデッドリフト」と呼ばれることもあります。
スモウデッドリフトでも台に乗ってやりますか?
行われることはありますが、通常の足幅で行うほうが一般的です。スモウデッドリフトは足を大きく開いて上体を立てて引くので、もともと床からの距離が短く、台に乗ると股関節を深く開く必要が出てきます。スモウで行う場合も、台は低めから始めてください。
腰を痛めやすいと聞きました
背中が丸まった状態で重いものを引けば、どのデッドリフトでも腰に負担が集まります。デフィシットは構えが深い分、丸まりやすい種目です。台を低く、重量を軽くして、背中をまっすぐに保てる範囲で行ってください。すでに腰に痛みがある場合は、行う前に医療機関に相談してください。

鍛えられる筋肉

主働筋: 脊柱起立筋・大臀筋・ハムストリングス

協働筋: 大腿四頭筋・広背筋・僧帽筋・前腕筋群