クリーン&ジャーク
クリーン&ジャークは、こう動かす
効く場所:大臀筋・三角筋(あわせて働く:大腿四頭筋・ハムストリングス・僧帽筋・上腕三頭筋・腹直筋)
外せない点:
- クリーンの構え
- 肩で受ける位置(フロントラック)
- 構え直し
- ジャークの足幅
やり方
構えをつくる
- クリーンの構え:パワークリーンと同様にデッドリフトの姿勢でバーを握ります。親指をバーと人差し指・中指の間に挟む握り方(フックグリップ)は、手が滑りにくくなるため広く使われています。目安:背中は真っすぐ、肩はバーの真上かやや前。
- 肩で受ける位置(フロントラック):クリーンで受けたバーは、鎖骨と肩の前の盛り上がりに乗せます。手のひら全体で握り込む必要はなく、指先で支えるだけでも構いません。その場合は、構え直しの間に、必要なら手のひら寄りに握り直してからジャークへ移ります。肘は前へ高く上げます。目安:手を少し緩めてもバーが落ちなければ、重みは肩に乗っている。
- 構え直し:クリーンで立ち上がったら、一度胸を張って姿勢を整え、ジャークに移る準備をします。バーが肩の上で安定するまで、焦って次の動作に入りません。目安:フロントラックでバーが落ち着いてからジャークへ移っているか。
- ジャークの足幅:沈み込む前の足幅は、腰幅程度を目安にします。つま先はやや外へ。広すぎると、脚の力がまっすぐ上へ伝わりにくくなります。目安:沈み込んだとき、膝がつま先と同じ方向へ出ている。
クリーンで受け止める・ジャークで押し上げる
まずクリーンの要領で床からバーを引き上げ、鎖骨の上で受け止めます。一度立ち上がって姿勢を整えたら、ジャークに移ります。膝を軽く曲げて沈み込み、その反動で脚からバーを押し上げます。この沈み込みは、上体を立てたまま、お尻を後ろへ引かず膝を前へ出す浅い動きです。お尻を後ろへ引くと、バーが前へ流れます。バーが上がっている間に体をバーの下へ入れ、プッシュジャークなら足を前後に割らず(足は動かさないか、横へ少し開く程度)、膝を浅く曲げた姿勢で、スプリットジャークなら片足を前、もう片足を後ろへ出して受けます。バーを上へ運ぶ力の大半は脚の反動が生みます。腕はその勢いに合わせてバーを押しながら体をバーの下へ入れ、肘を伸ばしきって頭上で固定します。頭上で受けたら、足をそろえて静止します。
呼吸:クリーンとジャークそれぞれの局面で息を吸って止め、動作の合間に一度呼吸を整える
目安:最後は肘が伸びきって固定され(ロックアウト)、バーが頭上で止まっているか。受けたあとに肘を伸ばし直す動き(プレスアウト)は、競技では失敗になる
回数・重さの目安
- 技術習得(クリーンとジャークの個別練習):空バーまたは軽量で各局面3〜5回 クリーン&ジャークは複合種目のため、まずクリーンとジャークをそれぞれ別々に習得してから繋げることを強く推奨します。動作が崩れる前にセットを区切り、通しで練習するのは、それぞれの技術が安定してからにしてください。
- パワー・瞬発力向上:1〜2回×3〜5セット 技術が定着してから、バーを素早く動かせて形も崩れない重さで行います。受ける姿勢が崩れる、動きが遅くなる、といった変化が出たら重量を上げず、その日はそこで終えます。
- 伸び悩んだとき:どちらの局面で落ちたかを記録する 重量が止まったら、挑戦ごとに、クリーンで立てなかったのか、ジャークで押し切れなかったのかを書き残します。クリーン側ならパワークリーンとフロントスクワット、ジャーク側ならプッシュジャークに戻ります。同じ重量で何回挑んで何回挙がったかも一緒に残すと、重さを上げる時期を決めやすくなります。
安全とマナー
- 周囲に十分なスペースを確保し、リフティングに適したシューズを着用する
- クリーン・ジャークいずれの局面でも失敗時は無理に持ちこたえず、速やかにバーを落とす
- ジャークで失敗したら頭上で持ちこたえようとしない。バーが前へ流れたら前へ押し出して自分は後ろへ下がり、バーが後ろへ流れたときは、バーから手を離して前へ逃げる
- 技術難度が非常に高いため、必ずクリーンとジャークを個別に習得したうえで挑戦し、可能な限り指導者・コーチの下で学ぶ
よくある間違いと直し方
- クリーンとジャークの間の呼吸・姿勢の立て直しを省略してしまう:一度立ち上がって姿勢を整え、呼吸を整えてからジャークに移る。焦って繋げようとすると両方の局面でフォームが崩れる
- 疲労が蓄積した状態で繰り返し練習してしまう:複合種目は疲労の影響を強く受けます。フォームが崩れてきたら、その日の練習を終える判断をする
- クリーンとジャークどちらかの技術が未熟なまま重量を上げてしまう:両方の技術がそれぞれ安定するまでは通しでの重量アップを控え、要素分解した練習に戻る
- クリーンは挙がるのに、ジャークでバーが前へ落ちる:まず空バーで沈み込みだけを繰り返し、上体が前へ倒れていないかを見ます。お尻を後ろへ引いて沈むと上体が前へ倒れ、押し上げたバーも前へ流れます。上体を立てたまま、お尻を後ろへ引かず膝を前へ出す沈み込みに直してください。沈み込みが直っても前へ落ちるなら、頭上で腕を伸ばしきる柔軟性が足りていない可能性があります
- クリーンで受けたあと手首が痛む、肘が上がらない:手のひら全体でバーを握り込もうとしていないか確認します。握りを緩めて指を引っかける程度にすると、肘を前へ上げやすくなり、重みを手ではなく肩で受けやすくなります。手首の反りそのものが小さくなるわけではないので、それでも手首が痛む・肘が上がらないなら、腕や肩まわりの柔軟性の問題です。握りの幅を少し広げると楽になる場合があります。痛みが続く場合は練習を止め、医療機関に相談してください
- ジャークの後、頭上で肘が曲がって押し直している:脚で押し上げたあと、バーの下へ体を潜らせるのが遅れています。腕で押し切ろうとせず、バーが上がっている間に体を沈めて肘を伸ばしきる練習を、プッシュジャークで繰り返します
- スクワットの深さでクリーンを受けると立ち上がれない:脚の筋力が技術に追いついていない状態です。受ける深さを浅くしたパワークリーンで練習を続けながら、フロントスクワットで立ち上がる力を別に鍛えます
痛みが出たときは
- 肩が痛いとき:肩でバーを受ける姿勢や、ジャークで頭上に肘を伸ばしきる位置に、柔軟性が追いついていない可能性があります。要素を分解して個別に練習し、痛みが続く場合は整形外科などの医療機関に相談してください
- 腰が痛いとき:クリーンの引き上げやジャークの反りすぎが原因になりやすい。それぞれの局面を個別に見直し、重量を技術に見合ったものに落とす。痛みが続く場合は医療機関に相談してください
- 手首・膝が痛いとき:バーを受け止めるときの衝撃を、うまく吸収できていない可能性があります。要素分解した練習で受け止め方を固め、改善しない場合は医療機関に相談してください
クリーン&ジャークとは
クリーン&ジャークは、床のバーベルを肩の高さまで一気に挙げる「クリーン」と、肩から頭上へ突き上げる「ジャーク」を続けて行う、全身を使うバーベル種目です。バーベルを用いる競技であるウエイトリフティング(重量挙げ)はこの種目とスナッチの2種目で行われ、どちらも各3回挑戦でき、総合順位はそれぞれで成功した最高重量の合計で決まります。表記はクリーンアンドジャーク、クリーン&ジャークなどまちまちで、英語では Clean and Jerk、略して C&J。スナッチが床から頭上まで一息で挙げるのに対し、こちらは肩で一度止めるぶん、より重い重量を頭上へ運べます。そのかわり、引く技術と押し上げる技術の両方が要ります。筋トレとして取り入れる場合も、この2つを別々に仕上げてからつなぐのが基本です。
この種目で変わること
- 全身の筋力と瞬発力の向上:脚で床を押し、股関節を伸ばす力でバーを頭上まで運びます
- クリーンとジャークという別々の技術をつなげる、全身の協調性の練習
- 短時間で全身を大きく動かすため、心肺への負荷も高い
- クリーンなどウエイトリフティング系の種目を取り入れた練習で、一般的な筋トレだけの場合より垂直跳びがやや伸びたという研究のまとめがあります。ただし差は小さく、他の競技の成績まで伸びるかは、その競技の練習との組み合わせ次第です
まだ難しいときは
似た効果の種目
長所・短所
この種目ならではの強み
- スナッチより重い重量を頭上へ運べる:肩で一度止めて2段階で挙げる。そのぶん、一息で頭上まで運ぶスナッチより重さを積める。
- 引く力と押す力を1本でつなぐ:床から引く技術と頭上へ押し上げる技術を、1回の挙上の中で続けて使う。全身の連動そのものの練習。
- 競技で行う形そのものを練習できる:ウエイトリフティングの2種目のうちの1つ。競技と同じ基準で自分の記録を比べられる。
弱みと、その付き合い方
- 2つの技術を別々に仕上げる必要がある:どちらかが未熟なまま重量を上げると、弱いほうの局面で失敗しやすい。
こう付き合う:パワークリーンとプッシュジャークの個別練習を続け、両方が安定してから通しへ。 - 1回あたりの消耗が大きい:全身を2度使うため、練習量を確保しにくい。回数は少なく、1回ずつの質で稼ぐ種目。
- 指導なしでは危険が大きい:高重量を頭上で扱うので、独学での重量追求は勧められない。バーを落とせる床も要る。
ひとことで:クリーンを肩で落ち着かせ、ジャークを頭上で止める。別々にできてから、つなげて挙げる。
よくある質問
- クリーンアンドジャーク、クリーン&ジャーク、C&J は同じものですか?
- 同じ種目です。英語の Clean and Jerk をカタカナにしたもので、「&」「&」「アンド」の書き方が違うだけです。略して C&J とも書きます。クリーンは床から肩へ挙げる動作、ジャークは肩から頭上へ突き上げる動作を指し、その2つを続けて行うのがこの種目です。
- どんな効果がありますか?
- 床から頭上まで重いバーを運ぶ動作を通して、脚と股関節で素早く大きな力を出す能力と、全身を連動させる技術を鍛えられます。お尻、太もも、肩、背中の上部、腕の裏側、体幹と、ほぼ全身の筋肉が使われます。短時間で全身を大きく動かすので、心拍も上がります。
- やり方を順番に教えてください
- 床から肩へ挙げる(クリーン)、構え直す、頭上へ突き上げる(ジャーク)、静止して下ろす、という流れです。①バーを足の甲の中央の上に置き、デッドリフトの姿勢で握ります。②脚で床を押してバーを体の近くで引き上げ、体をバーの下へ潜らせて、鎖骨と肩の前で受けます。③立ち上がり、呼吸と姿勢を整えます。④膝を軽く曲げて沈み、その反動で脚からバーを押し上げ、押し上げると同時に体をバーの下へ沈め、腕が伸びきった形で頭上で受けます。⑤足をそろえて静止できたら、バーを下ろします。最初からつなげず、クリーンとジャークを別々に練習してください。挙げきれなかったときは、バーを体から離して落とします。前へ流れたら自分は後ろへ下がり、バーが後ろへ流れたときは、バーから手を離して前へ逃げます。必ず床に落としてよいゴム製のプレートと、落としてよい場所で行ってください。
- ウエイトリフティングの競技とはどういう関係ですか?
- ウエイトリフティング(重量挙げ)は、スナッチとクリーン&ジャークの2種目で行われる競技です。選手は各種目3回ずつ挑戦でき、総合順位は、それぞれで成功した最高重量の合計で決まります。つまりクリーン&ジャークは、この競技を構成する2種目のうちの1つです。筋トレの種目として取り入れる場合は、競技のルールに従う必要はありません。ただ、頭上で肘を伸ばしきって止める、肩で受けてから腕で押し直さない、といった形の目安は、競技の判定を参考にすると分かりやすくなります。
- スナッチとどう違いますか? どちらから始めるべきですか?
- スナッチは広い握りで床から頭上まで一息で挙げ、クリーン&ジャークは肩で一度止めてから頭上へ挙げます。途中で止めるぶん、クリーン&ジャークのほうが重い重量を扱えるのが普通です。どちらから始めるかに決まりはありませんが、筋トレとして取り入れるなら、動作を分けて練習できるクリーン&ジャークの要素(パワークリーンとプッシュジャーク)から入るほうが段階を踏みやすいでしょう。
- 一般の人はどのくらいの重さを挙げますか? 平均はありますか?
- 一般の人の平均として示せる、信頼できる数字はほとんどありません。記録は筋力だけでなく技術で大きく変わるからです。性別や体重によっても基準が大きく違うため、目安の数字は一律に示せません。比べる相手は他人の数字より、同じ条件で記録した自分の過去の重さにすると、技術の上達も見えやすくなります。
- 100kgを挙げるのはどのくらい難しいですか?
- 体重によって意味が大きく変わるので、まず体重比に直して考えます。体重100kgの人なら体重比1倍、体重70kgの人なら約1.4倍、体重50kgの人なら2倍にあたります。重くなるほど筋力だけでは押し切れなくなり、クリーンで素早くバーの下へ潜る技術と、ジャークで頭上に受ける技術の精度が記録を左右します。何か月で届くかは、練習の頻度や指導の有無で大きく変わるため、一律には言えません。
- 女子の競技では、バーの重さが違いますか?
- 違います。女子の競技では、男子用(20kg)より軽く握りの細い15kgのバーが使われます。ウエイトリフティングの女子競技は、オリンピックでは2000年のシドニー大会から実施されています。重さの目安は男女で分けて考えるより、体重比と自分の記録の変化で見るほうが実用的です。最初は空のバーか、それより軽い練習用のバーで動きを覚え、クリーンとジャークを別々に固めてからつなぎます。
- どんな人が挑戦すべきですか?
- パワークリーン・プッシュジャークなど個別の技術がすでに安定している中〜上級者向けです。初心者はまず個別の種目から始めることを推奨します。
- 独学で練習しても大丈夫ですか?
- 動作が複雑で怪我のリスクも大きいため、可能であればウエイトリフティングの指導経験があるコーチの下で学ぶことを強く推奨します。独学で進める場合は、少なくとも横から動画を撮り、バーが体から離れていないか、ジャークで上体が前へ倒れていないかを毎回確かめてください。
- ジャークはプッシュとスプリット、どちらで行えばいいですか?
- どちらでも構いません。足を前後に割るスプリットジャークは前後に崩れにくく、重い重量を頭上で受けやすいため、競技では多く使われています。足を前後に割らず、膝を浅く曲げた姿勢で受けるプッシュジャークは覚えることが少なく、筋トレとして取り入れるなら入りやすい形です。まずはパワークリーンとプッシュジャークを別々に練習し、それぞれが安定してから組み合わせます。スプリットジャークは、より重い重量を頭上で受けたくなってから練習すれば十分です。
- 手首が硬くて、肩でバーを受ける姿勢が取れません
- 珍しいことではありません。手のひら全体で握る必要はなく、指2〜3本で支える形でも受けられます。それでも肘が上がらない場合は、手首だけでなく、肩や背中の上のほう、腕の後ろ側の柔軟性が関係していることが多いです。無理に手首を反らして受け続けると手首を痛めやすいので、受ける形が作れるまでは重量を上げないでください。
- 体の大きさや手足の長さで、やり方は変わりますか?
- 細部は変わります。腕が長い人は握りの幅を少し広げたほうが受けやすいことがあり、脚が長い人は床から引く最初の姿勢で上体が前へ倒れやすくなります。ただし「バーを体から離さない」「ジャークで上体を立てたまま沈む」という原則は同じです。自分に合った形は、軽い重量で動画を撮って比べながら決めていきます。
- 家やふつうのジムでもできますか?
- 失敗したときにバーを落とせる環境が必要です。落としてもよいゴム製のプレート(バンパープレート)と、落下に耐える床がないところでは行わないでください。鉄製のプレートを頭上から落とすと、床も器具も傷め、跳ね返ったバーで怪我をするおそれがあります。環境がない場合は、ダンベルやケトルベルで行うジャーク系の種目で代える方法もありますが、バーベルで2つの技術をつなぐ練習にはなりません。