スミスマシンRDL
軌道固定のスミスマシンで行うルーマニアンデッドリフト。バランス不要でハムのストレッチだけに集中できます。
スミスマシンRDLは、こう動かす
効く場所:ハムストリングス・大臀筋(あわせて働く:脊柱起立筋)
外せない点:
- バーの高さ
- 立ち位置
- 足の前後位置(スミス特有の調整)
- 太もも裏の柔軟性による深さの調整
別名:スミスマシンルーマニアンデッドリフト、スミスRDL、Smith RDL、Smith Machine Romanian Deadlift(固定バーを腰の高さで持ち、お尻を引いて下ろすタイプ)
やり方
セットアップ
- バーの高さ:ラックのピンを、腕を伸ばして立ったときの手の高さ(太ももの付け根あたり)か、それより少し下に差す。目安:直立して肘を伸ばしたまま握れ、背伸びや肘の曲げなしでフックを外せる高さ。
- 立ち位置:バーの真下に立ち、肩幅で足を置く。目安:フックを外したとき、バーは太もも前面に軽く触れているか。
- 足の前後位置(スミス特有の調整):バーの真下に足の中央(土踏まず)が来る位置から始めます。お尻を引いて下ろしたとき、バーが太ももから離れて前へ逃げる感覚があれば、足を半足ぶん前へ。バーがすねに当たって下ろしきれないなら半足ぶん後ろへ。フリーのバーベルなら体の動きに合わせてバーの通り道も変わりますが、スミスのバーはレールの上しか通らないので、足のほうを動かして合わせます。目安:下ろしきってもバーが太もも〜すねの前面から離れなければ合っている。
- 太もも裏の柔軟性による深さの調整:太もも裏が硬い人は、膝下まで下ろそうとすると先に背中が丸まります。セーフティストッパーを、背中が丸まる手前より少し低い高さにセットしておくと、下ろしすぎたときにバーが止まり、深さの目安にもなります。毎回当てて止めるのではなく、触れる手前で切り返します。目安:セーフティの少し上で切り返したとき、背中はまっすぐで、太もも裏が伸びている感覚がある。
重量の決め方
まずバーだけ(プレートなし)で1セット行い動きを覚える。次に「10回できて、まだ2〜3回余裕がある」重さまで、左右に1.25〜2.5kgずつプレートを足して探す
10回×3セットが最後まで良いフォームでできたら、次回は左右1.25kgずつ(合計2.5kg)足す。3セットとも2回以上余裕が残るほど軽く感じたときだけ、左右2.5kgずつ(合計5kg)まで足してよい。重さが止まったら、セーフティの高さを少しずつ下げて、下ろす深さを広げます(背中が丸まらない範囲で)。深さを広げきったら、片脚を少し後ろに引き、前側の脚に体重を多く乗せる形も試せます。最初は軽い重量で、左右のバランスを確かめながら行います
動作
開始:膝を軽く曲げた角度を固定し、お尻を真後ろの壁に近づけるように引きながら下ろし始める。胸は張ったまま、バーは太ももを滑らせるように下ろす
呼吸:下ろしながら吸い、起き上がりながら吐く
終了:最終レップ後はバーをフックに戻してから体を起こす
ジムでのマナー
- 使用後はバーを拭く
- フックの掛け忘れがないか離れる前に確認する
- 前傾姿勢で場所を取るため周囲との距離を確認する
- セーフティストッパーの高さを変えたら、使い終わったあとに元の高さへ戻す
よくある間違いと直し方
- 腰のすぐ上が先に疲れて、太もも裏に効かない:最初に疑うのは立ち位置です。足がバーより後ろにあると、下ろすにつれてバーが体から前へ離れ、腰からバーまでの距離が開いて腰の負担が大きくなります。足を半足ぶん前に出し、下ろしきった位置でもバーが太もも〜すねに触れているかを確かめてください。それでも腰に来るなら、下ろしすぎか重すぎです。太もも裏が伸びきった先まで下ろしているなら、そこからは背中を丸めて下ろしているので、セーフティを上げて浅く止めます。深さが合っているなら1段落として、背中をまっすぐ保てるか確かめてください
- 太もも前(大腿四頭筋)に効いてスクワットのようになる:膝が下ろすたびに曲がり込んでいます。重量を下げ、膝の角度をほぼ固定したまま股関節だけを折り曲げます。膝を前に出さず、お尻を後ろへ引く距離で下ろす感覚です
- 背中が丸まる:下ろす深さを浅くし、腹圧を先に高めてから下ろします。太もも裏が硬い人ほど早い段階で丸まるので、深さは他人と比べず、背中がまっすぐ保てる位置で決めてください
- バーが体から離れて前へ流れる感じがする:スミスのバーはレールの上しか通らないので、離れていくように感じるのは体のほうが動いているからです。足の位置がバーに対して後ろにずれています。足を半足ぶん前に出し、バーが太もも・すねに触れ続ける位置を探します
- 左右でお尻の張り方が違う:立ち位置がバーの中心からずれているか、片方の足に体重が偏っています。バーの中央の印と体の中心を合わせ、両足の裏全体に均等に体重を乗せてから下ろします
- 膝裏が痛む・つっぱる:膝を伸ばしきって下ろしています。膝は軽く曲げた角度を最初に決め、最後まで保ってください
- 下ろすたびにつま先側へ体重が移り、かかとが浮きそうになる:お尻を後ろへ引く距離が足りず、上体だけを前へ倒しています。足の裏全体で床を押さえ、重心はややかかと寄りのまま、お尻を後ろの壁に近づける距離で下ろしてください。足裏全体に体重が乗ったままなら、太もも裏が伸びる感覚が強くなります
痛みが出たときは
- 腰が痛いとき:背中が丸まった状態で下ろすと腰に負担が集中します。丸まる手前で折り返し、重量を下げて胸を張った姿勢を保てる範囲で行ってください。足の位置が後ろすぎて、バーが体から離れていないかも確かめます。痛みが続く場合は中止し、医療機関を受診してください
- 太もも裏・膝裏が痛いとき:強い張りが出る場合は下ろす深さを浅くしてください。柔軟性には個人差があるため、伸びを感じる手前で止める判断が優先です
- 手のひら・握力が痛いとき:重量が上がると、バーを保持する手が先に疲れてマメができやすくなります。ストラップやグローブで補ってください
スミスマシンRDLとは
スミスマシンRDLは、レールに沿って上下するスミスマシンのバーを持ち、膝の角度をほぼ保ったまま股関節を折ってバーを下ろし、太もも裏とお尻を鍛える種目です。RDLはルーマニアンデッドリフト(Romanian Deadlift)の略で、英語では Smith Machine Romanian Deadlift、日本ではスミスRDL、スミスマシンルーマニアンデッドリフトとも呼ばれます。効くかどうかを左右するのは、動かし方よりも、立ち位置とバーの高さの合わせ方です。バーはレールの上しか通らないので、足の位置が数センチずれるだけで、腰に来たり太もも前に来たりします。そのかわりバランスを取る必要がなく、合う位置さえ見つかれば、太もも裏が伸びる感覚に集中できます。
この種目で変わること
- 太もも裏が伸びたところで力を出す練習になる:筋肉が引き伸ばされた位置で負荷をかけると筋肥大に有利かもしれない、という研究結果があります
- ハムストリングス・大臀筋の筋力・筋量の向上:股関節を折って伸ばす動作が、体の背面をまとめて鍛えます
- 脊柱起立筋の関与:上体を支える過程で背骨まわりの筋肉も働きます
効かせ方のバリエーション
- 片脚ずつ交互に行うと左右差の改善にもなる(上級者向け)
- 足幅を腰幅より狭くするとお尻より太もも裏の張りが強く出やすく、肩幅より広くするとお尻と内ももに張りが出やすくなります。どちらが優れているということはなく、どこに張りを感じたいかで選びます
- フリーのバーベルで行うルーマニアンデッドリフトとの使い分け。バーベル版は体の前後のバランスを自分で取る必要があり、背中と体幹も一緒に鍛えられます。スミス版はその要素が抜けるかわりに、太もも裏が伸びる位置に意識を集めやすく、一人で重めの重量を扱いやすい。ヒップヒンジ(股関節から折る動き)を覚える段階や、脚の日の後半で、バランスを取る余力を太もも裏に回したいときはスミス、全身の力として伸ばしたい時期はバーベル、と分けると目的がはっきりします
- スミスマシンが空いていない・ジムに無い場合は、ダンベルRDLが最も近い代替です。ただし置き換えると、セーフティで深さを毎回同じに止められる点と、軌道を気にせず太もも裏に集中できる点が失われます。ダンベルを体から離さない注意が新たに加わります
混んでいたら・比べたい
長所・短所
この種目ならではの強み
- バランスを取らずに股関節の動きへ集中できる:バーの軌道が固定されているので前後のバランスを取る必要がなく、足の位置さえ合えば太もも裏を伸ばす動きに集中できる。
- 下ろす深さを毎回そろえられる:セーフティを背中が丸まる手前より少し低く置いておけば、疲れて下ろしすぎた回もそこで止まる。
- ひとりでも重さを試しやすい:レールから外れないぶん、フリーのバーベルよりバランスを崩しにくい。とはいえ重くするのは、背中をまっすぐ保てる範囲まで。
弱みと、その付き合い方
- 体幹やバランスの力は育たない:前後のバランスを自分で取らないので、その力は育ちにくい(姿勢を保つために背中の筋肉は働く)。
こう付き合う:バランスまで鍛えたい日はルーマニアンデッドリフトのほうが向いている。 - スミスマシンが空いていないと行えない:このマシンでしか成立しない種目。
こう付き合う:空くのを待つより、ダンベルルーマニアンデッドリフトに替える日があってもよい。
ひとことで:セーフティで深さを止められるので、太もも裏を毎回同じ深さで追い込みたい日に向く。
よくある質問
- スクワットとの違いは何ですか?
- スクワットは膝を大きく曲げてしゃがむ動作、RDLは膝の角度をほぼ保ったまま股関節を折る動作です。RDLでは主に太もも裏とお尻が働きます。
- どこまでバーを下ろしますか?
- 太もも裏に伸びを感じ、背中が丸まる手前までです。床まで下ろす必要はありません。膝下あたりで折り返す人が多い種目です。
- フリーウェイトのRDLとどちらがいいですか?
- 軌道が固定されるぶんスミスマシンのほうが動作を覚えやすい一方、バーが体から離れていくのを自分で止める感覚はつかみにくくなります。動きを覚える段階や、太もも裏だけに集中したい日はスミス、背中と体幹も含めて鍛えたい日はバーベル、と目的で分けてください。
- 足の位置はバーの真下ですか?少し前ですか?
- 足の中央(土踏まず)がバーの真下に来る位置から始め、下ろしたときの感覚で前後を調整します。バーが太ももから離れていくなら足を前へ、すねに当たって下ろせないなら後ろへ、半足ずつ動かしてください。体格によって合う位置が変わるので、他の人の立ち位置をまねても合わないことがあります。
- スティッフレッグデッドリフトとの違いは何ですか?
- スティッフレッグデッドリフトは膝をほぼ伸ばしたまま行い、毎回床(またはそれに近い位置)までバーを下ろすことが多い種目です。RDLは膝を軽く曲げ、太もも裏が伸びきる手前で折り返します。RDLのほうが腰を丸めずに済む範囲で動けるため、扱いやすい種目です。
- 重量はどれくらいから始めればいいですか?
- 初回は一番軽い重さで動きを覚え、10回できてまだ2〜3回余裕がある重さまで1〜2段ずつ上げて探します。スミスマシンはバー自体の重さが機種ごとに違い、カウンターウエイトで軽くしてあるものもあるので、他のジムでの重量やフリーのバーベルでの重量とは単純に比べられません。
- ストラップは使ってもいいですか?
- 使って構いません。重量が上がると、太もも裏に十分な負荷がかかる前に握力が尽きて、セットが終わることがあります。この種目で鍛えたいのは太もも裏とお尻なので、握力が先に尽きるならストラップで補うほうが目的に沿います。
- 腰痛があってもできますか?
- すでに痛みがある場合は、種目を選ぶ前に医療機関を受診してください。痛みがない人にとっては、軌道が決まっていて深さをセーフティで止められる点で、フリーのバーベルより負担を管理しやすい種目です。腰痛を防ぐ目的で選ぶ種目でもありません。
- ヒップスラストとどちらがお尻に効きますか?
- 効く位置が違います。ヒップスラストはお尻が縮みきった位置で負荷が最大になり、スミスマシンRDLは太もも裏とお尻が伸びた位置で負荷が強くかかります。どちらか一方が上ということはなく、お尻を大きくしたいなら両方を組み合わせるのが無理のない考え方です。