HANGING KNEE RAISE
ハンギングニーレイズ
体幹(腹直筋)
難易度:初級
🤸 自重
ハンギングニーレイズは、こう動かす
効く場所:腹直筋
外せない点:
- グリップ
- 開始姿勢
- 握力が先に尽きる人の準備
- 背が高い人・バーが低いとき
やり方
構えをつくる
- グリップ:肩幅程度でバーを順手に握り、ぶら下がる。目安:肩が耳から離れ、肩甲骨がやや下がった状態か。
- 開始姿勢:体の揺れが止まるまで待つ。目安:体の揺れが完全に止まってから1回目。
- 握力が先に尽きる人の準備:リストストラップを使うか、肘を乗せて体を支えるアームレスト付きの台(キャプテンズチェア)で行います。ぶら下がること自体が限界に近いと、腹筋に力を入れる前にセットが終わります。目安:目安は30秒ほど(10回ぶん)、手を離さずにぶら下がれること。
- 背が高い人・バーが低いとき:足が床に着くなら、膝を軽く曲げて足を後ろへ引いた位置から始めます。足先が床をこすると、そのたびに反動がつきます。目安:最も下ろした位置でも、足が床に触れない。
膝を引き上げる・戻す
動き出しで軽く骨盤を丸めてお腹を締め、膝を胸に向かってゆっくり引き上げます。膝が腰の高さを越えたら、おへそをのぞき込むように骨盤をさらに丸め込むと、腹直筋が強く縮みます。反動を使わず、コントロールしながら元の姿勢に戻します。
呼吸:膝を引き上げながら吐き、骨盤を丸めきるところで吐き切る。お腹を締めたまま、下ろしながら吸う
目安:体が前後に大きく振れていないか。動き出しで骨盤が軽く丸まり、膝が腰の高さを越えてからもう一段丸め込めれば合っている
回数・重さの目安
- 筋肥大:10〜15回×3セット 反動を使わずコントロールできる回数が目安です。楽にこなせるようになったら、脚を伸ばしたハンギングレッグレイズに進む前に、まず骨盤を丸める深さを増やしてください。
- 筋力向上:8〜12回×3〜4セット 引き上げる高さを胸に近づけるほど強度が上がります。握力が先に限界を迎える場合はリストストラップの使用も選択肢です。
- 導入・基礎づくり:5〜8回×2〜3セット 体の揺れを止めるコントロールを優先し、無理に高く引き上げようとしないでください。
安全とマナー
- ぶら下がる前にバーの高さ・強度を確認し、無理な反動をつけない
- バーから降りるときは、膝を軽く曲げて静かに着地する(脚を伸ばしたまま飛び降りると、膝と腰に衝撃がかかります)
よくある間違いと直し方
- お腹よりも脚の付け根(股関節の前)ばかり疲れる:膝を上げる動きだけで終わり、骨盤が丸まっていません。膝の高さを追うのをやめ、動き出しで軽く骨盤を丸めてお腹を締め、膝が腰の高さを越えたら、そこからお尻を前へすくい上げるように骨盤をさらに丸め込んでください。脚の付け根が張るのは膝を引き上げる筋肉が働いているからで、それ自体は誤りとは限りません。それでもお腹に来ないなら、膝を深く曲げてかかとをお尻に近づけたまま上げると、持ち上げる脚が軽くなり、骨盤を丸める動きに集中しやすくなります
- 反動を使って膝を振り上げる:揺れがどこで始まるかで直し方が変わります。動き出す前から体が揺れているなら、毎回下ろしきった位置で1秒止めてから次の1回に入ります。下ろす途中で振り子のように振られるなら、下ろすのが速すぎるので、上げる動作の倍の時間をかけて下ろしてください。それでも揺れるなら、壁に背中を軽く当てて行うと振り子が止まります
- 肩がすくみ上がる・肩の前が痛む:ぶら下がる前に、肩を耳から遠ざける方向へ軽く下げてから始めます。握る幅が広すぎても肩がすくみやすいので、肩幅程度に戻してください
- 膝が上がらず腰だけ丸まる:引き上げる高さを少し下げ、骨盤を丸める動きを先に練習します。床に仰向けになって膝を立て、お尻を床から浮かせるリバースクランチで動きを覚えてから戻ると、ぶら下がった状態でも同じ動きが出やすくなります
- 握力が先になくなって回数が伸びない:お腹が限界に達する前に、握力でセットが終わっています。リストストラップを使う、アームレスト付きの台に替える、セットを短く区切って回数を合計で数える、のどれかで対処します。握力を鍛えることとお腹を鍛えることを同じセットで両立させようとしないでください
- 下ろすときに腰が反り、次の1回で反動がつく:脚を下ろしきると、脚の重さで骨盤が前へ引っぱられ、腰が反ります。揺れが止まらないうちは、下ろしきって1秒止める形を続けてください。揺れを止められるようになったら、膝が腰の高さより少し下まで戻ったところで、下ろしきる前に次の1回に入ります。負荷が抜けないので、少ない回数でもお腹に効きます
- 上げている途中で息が止まる:息を止めて固めると、骨盤を丸める動きが小さくなります。膝を上げながら細く吐き、吐き切るのに合わせて骨盤を丸めきると、腹直筋が縮みやすくなります
痛みが出たときは
- 肩が痛いとき:ぶら下がった際に肩がすくみ上がっていないか確認してください。握る幅を肩幅に戻し、肩を下げた状態で構えても痛みが続く場合は中止し、整形外科などの医療機関を受診してください。
- 前腕・握力が痛いとき:握力が先に限界を迎える場合は、リストストラップの使用や保持時間の短縮を検討してください。
- 腰が痛いとき:下ろすときに腰が大きく反っていないか確認してください。脚を下ろしきる手前で止め、腰が反る前に次の1回に入ると負担が減ります。それでも痛む場合は中止し、医療機関を受診してください。
- 手のひらが痛いとき:バーとの摩擦でマメができやすい種目です。グローブやパッドを使うか、握り直さずに済むよう、ぶら下がる前に手の位置を決めてください
ハンギングニーレイズとは
ハンギングニーレイズは、懸垂バーにぶら下がった状態で膝を胸の方へ引き上げ、骨盤を後ろへ丸めて腹直筋を縮める腹筋種目です。見落とされやすいのは、膝を高く上げる動きそのものは、腹筋より股関節を曲げる筋肉(腸腰筋)の働きが大きいという点です。ぶら下がり膝上げ、ハンギングニーアップ(英語では Hanging Knee Raise、Hanging Knee Tuck)という呼び名のとおり膝を上げる動きに目が行きがちですが、腹筋にしっかり負荷をかけるには、膝を上げたうえで骨盤を後ろへ丸めるところまで入れる必要があります。膝を曲げるぶん、脚を伸ばしたまま上げるハンギングレッグレイズより負荷が軽く、ぶら下がって行う腹筋種目に初めて取り組む人に向いています。脚を下ろしきると腰が反る方向へ引かれるので、腰が反りやすい人は下ろしきらない範囲で試してください。握力と肩が先に限界になる人も多い種目です。
この種目で変わること
- 膝を上げるだけでなく、骨盤を丸める腹筋運動を覚えられる:膝を引き上げたあとに骨盤を後ろへ丸めると、腹直筋が縮む範囲が大きくなります
- 膝を引き上げる動きそのものは、股関節を曲げる筋肉(腸腰筋)が多く担います
- 握力・前腕の補助的な強化:ぶら下がり続けること自体が刺激になります
- ハンギングレッグレイズへ進むための土台づくり
まだ難しいときは
物足りなくなったら
長所・短所
この種目ならではの強み
- ぶら下がる腹筋種目の最初に向く:膝を曲げるぶんてこが短く、脚を伸ばして上げる形より軽い負荷から入れる。
- 腰を床に押しつけなくてよい:床の種目で腰が浮いてしまう人でも、ぶら下がった姿勢なら骨盤を丸める動きを入れやすい。
弱みと、その付き合い方
- 反動で膝を振り上げやすい:体が揺れたまま行うと、勢いで膝が上がって腹筋の働きが減る。
こう付き合う:下ろしきって1秒止め、揺れが消えてから次の1回。 - 膝を上げるだけでは腹筋への負荷が小さい:骨盤を丸めずに脚だけ上げると、主に股関節を曲げる筋肉の運動で終わる。
こう付き合う:上げた膝の先で、お尻を前へすくうように骨盤を丸めるのがよい。 - 物足りなくなるのが早い:負荷が軽く、骨盤を丸める形が身につくと慣れるのも早い。
こう付き合う:反動なしで15回×3セットが続くようになったら、ハンギングレッグレイズに替える頃合い。
ひとことで:ぶら下がる腹筋運動を始めるなら、まず膝を曲げた形から。
よくある質問
- ハンギングレッグレイズとの違いは何ですか?
- ハンギングレッグレイズは脚を伸ばしたまま高く上げる高強度種目です。ハンギングニーレイズは膝を曲げて引き上げる分、可動域あたりの負荷が軽く、入門として取り組みやすくなっています。
- 下腹に効いているかは、どこで見分けますか?
- 膝の高さより骨盤の動きで見ます。膝を上げたとき、お尻が前へすくい上がって腰の後ろが丸くなるか。上げきった位置で、おへその下が縮んで硬くなっているか。脚の付け根の前側だけが張って腰の形が変わらないなら、膝を持ち上げるだけの動きになっています。なお、腹直筋は一枚の筋肉なので、この種目で下腹だけが引き締まるわけではなく、部分的に脂肪が落ちることも確かめられていません。見た目の変化は食事と全身の運動量によるところが大きくなります。
- レッグレイズ(床で行う種目)とどちらがいいですか?
- 床で行うレッグレイズは、脚を下ろしたときに腰が反りやすく、腰に不安がある人には負担になることがあります。ぶら下がる形でも脚の重さで腰は反る方向へ引かれますが、脚を下ろしきる手前で次の1回に入れば、反る局面を避けやすくなります。骨盤を丸める動きを入れやすいのも利点です。一方で、握力と肩の負担が加わります。腰が気になるならハンギングニーレイズ、ぶら下がるのが難しいなら床のリバースクランチ、と選ぶと無理がありません。
- キャプテンズチェア(肘を乗せる台)でも同じ効果がありますか?
- お腹の動きはほぼ同じです。違うのは、握力と肩で体を支える要素が抜けることです。握力が先に尽きてお腹を追い込めない人には、むしろ台のほうが向いています。逆に、ぶら下がる力も一緒に鍛えたいならバーで行います。
- 懸垂バーが無い家ではどうすればいいですか?
- 床で行うリバースクランチが最も近い動きです。仰向けで膝を曲げ、膝を胸へ引き寄せながらお尻を床から浮かせます。違いは負荷のかかり方です。ぶら下がった状態では、脚の重さが常に下へ引き、それに逆らって骨盤を丸める必要がありますが、床では膝が胸に近づくほど負荷が抜けます。体の揺れを止める体幹の働きと、握力の要素もなくなります。
- 肩幅が広い人・腕が長い人で注意することはありますか?
- 腕が長い人は、ぶら下がったときに体がバーから遠くなり、膝を上げると体が前後に振られやすくなります。上げる高さを腰の少し上までにとどめ、骨盤を丸める動きを優先してください。肩が硬く腕を真上に伸ばすと肩の前が詰まる人は、握る幅を少し広げると楽になることがあります。
- 懸垂と同じ日に組んでも大丈夫ですか?
- 組めますが、どちらもぶら下がる種目なので、重ねると前腕の疲れが抜けにくくなります。懸垂のあとで握力が先に尽きるなら、リストストラップか肘を乗せる台を使います。同じ日に組むなら懸垂のあとに回し、握りが持たずに体が揺れ始めたら、その回でセットを終えてください。
- 何回できたらハンギングレッグレイズに進めますか?
- 目安は、反動なしで骨盤を丸めきる形を15回×3セット行えることです。回数より、上げきった位置で骨盤を丸めたまま2秒止められるかを基準にしてください。そこまでできれば、膝の角度を少しずつ開いて足先を遠ざけていくと、ハンギングレッグレイズに無理なく近づけます。
鍛えられる筋肉
主働筋: 腹直筋